昨今、教育界で猛烈なプッシュを受けている、話題の「アクティブラーニング」。まずは、定義を押さえましょう。(産業能率大学キャリア教育推進フォーラム 第８回 (2014年) より引用)
（アクティブラーニングとは）一方向的な知識伝達型講義を聴くという受動的学習を乗り越える意味での、あらゆる能動的な学習のこと。能動的な学習には、書く・話す・発表するなどの活動への関与と、そこで生じる認知プロセスの外化を伴う。
どうも難しく聞こえてしまうので、超簡単にすると「授業を聞くのだけじゃダメ！生徒の変化が見えるような学び」。もっと簡単に言えば、「講義を聞く以外の活動全て！」となります。すごくわかりやすいですね。
「えっ、講義以外は全部アクティブラーニングなら何で今更？ 別にやってたけど。」と思われるかもしれません。アクティブラーニングの捉えづらい理由の１つは、「そもそも具体的な教授法ではない」からです。「アクティブラーニング」と「そうでないラーニング」は「表と裏」の関係ではありません。どちらかといえば「白と黒」の関係です。「今までの授業は黒よりのグレーだったかもしれませんが、今後は白よりにしていきましょう」程度で捉えてもいいと思います。要は「説明を減らして、とりあえず生徒にやらせてみよう、ついでにそれを確認しよう」といった感じです。
よって、しばしば「課題発見解決学習」とか「協働学習」と混同されがちですが、最も外側で包括する概念が「アクティブラーニング」になります。
１発でわかってしまいましたね！
明日から、アクティブラーニングが実践できそうです！
よかった！
明日から、アクティブラーニングが実践できそうです！
よかった！
以上です。
次回は「アクティブラーニングは何でスゴいの？」をまとめます。
次回は「アクティブラーニングは何でスゴいの？」をまとめます。
(ここからは独り言です。是非、読み飛ばしてください。）
「じゃ、問題集を解くのはアクティブラーニングになるの？」と言われると、私の手元にあるどの書物にも明記はありません。あくまで私見ですが、おそらくアクティブラーニングに含まれると思います。何故なら「授業で得る前では解けなかった問題が解けるようになった」という認知の変化のプロセスが、問題集上で外化されているからです。問題集を解くのは、主体的ではないかもしれませんが一応能動的ですよね、鉛筆は動いてますし。
ただし、「問題集はアクティブラーニングだよ！」とは、どの本にも書いていないです。何故でしょう。
ついでに言わせてもらうと、どの本にも「広義では…」と記載されているものの、「狭義」が見当たりません。何故でしょう。
おそらく、様々な実践例や説明から察すると、アクティブラーニングの狭義(のイメージ？)は次のようになると思います。『アクティブラーニングとは、実生活と結びつきやすい活用を、意義付けするために課題解決と結びつけた上で、しかもそれを生徒間で交流しながらやる学習』、こんな感じでしょうか。率直な感想を述べさせてもらうと、この狭義を忠実に守ろうとすると、多くの教科でシラバス上の単元では相当やりにくい内容が多い気がします。実際、学校で教える内容は「この単元単体では実生活で活用することが極端に少ない」「世間の課題と結びつかない」「個人でやったほうが効率的」なものが多いです。むしろ、この狭義のアクティブラーニングがあてはまる題材のほうが少ない気がします。もちろん、そう考えてしまうのは私の力量と工夫不足なのかもしれませんが。
そもそも、アクティブラーニングは大学での教授法として出発したそうです。大学では、教室内の学生が多く、教授すべき情報量も圧倒的に多いことから、講義形式が一般的でした。しかし、世間が激しく変化し、知識と世間の距離が生じてきています。さらに知識そのものがググれば済むようになりつつあります。また、大学進学率が大幅に増加し、従来ほど知識のない学生が増えています。このような世の中の変化から、大学での講義形式に活動を加えるという発想でアクティブラーニングは生まれました。
正直、このアクティブラーニングがどういう過程で大学から高等学校や中学校に移行したのかはイマイチ知りません。しかし、中学校や高等学校では100％講義形式の授業は稀ですから、新しい「アクティブラーニング」という響きに、色々と余計なものがとってついて、もはや別物になっているのかもしれません。さらに、従来から注目を集めている「課題発見解決学習」や「協働学習」と混合され、元の概念から派生した別の何かになっている気がします。
以上のことから、「アクティブラーニングって何？」と聞かれた際は、「定義によれば講義以外」と答えるよりも「課題発見解決学習と協働学習を合わせて、発表させるやつ」と認識する方がいいのかもしれません。
参考文献
『アクティブラーニングと教授学習パラダイムの転換』 溝上慎一
『すぐわかる! できる! アクティブ・ラーニング』 純, 西川
『現場ですぐに使える アクティブラーニング実践』 小林昭文
うちも校長がアクティブ・ラーニングをごり押ししてくるので、すごく勉強になってます。
返信削除吉川が言うように、シラバスを進めるうえでやりづらいと痛感しているところです。
アクティブ・ラーニングについてまだ少ししか知識がないので、吉川が得意とする一言まとめ「講義以外すべて」で納得させられました。笑
アクティブ・ラーニングでおれが思うのは、上記のシラバスの話にもあるように、
「日本における教育環境との相性の悪さ」
です。
日本では今でも知識の詰め込みが行われてる。いわゆる「知識詰め込み型授業」は悪とされながらも余裕ではびこっていると思う。でもそれは教科書の内容の多さからしてしょうがない。
それに受験（センター試験）では、PISAとは違って、いかに知識をもっているかが試されている。
こういう状況や、教室の人数や机の配置なども手伝って、
「課題発見解決学習と協働学習を合わせて、発表させるやつ」
という意味でのアクティブ・ラーニングは行いにくい。
教育の先進国であるフィンランドでは日本と違い「体験型学習」（これもアクティブ・ラーニング）が当たり前だが、それを行う環境は整っている（フィンランドで１年間教員していた友人談）。
詰め込んだ知識なんて高校卒業したら一瞬で消え去るから、議論や課題研究などを通して少しずつ知識を得ながら思考力を高めていくアクティブ・ラーニングには大賛成なんだけど、
その手法を主に年間の授業を行っていくのは不可能だとも思う。
まあ１年目のおれらは流行のアクティブ・ラーニングに飛びつくと同時に、これまでの先輩らの授業方法を勉強していかんとなって思います。
フィンランドは義務教育修了者(16歳)のうち、高等学校への進学率は54.5%、職業学校への進学率は38.5%らしい。言ってしまえば、中学校を卒業した時点で、半分の生徒は「入試」的な要素を求められない。すなわち、「進学」に対するウエイトが少ないために、学校サイドとしても「生徒」だけに焦点を絞れる。アクティブラーニングが生まれるのもすごく納得がいく。
返信削除http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/world_school/05europe/infoC53500.html
一方、日本ではどうしても「幸せになりたいなら大学進学が当たり前」感が強い気がする。そもそも、教員も大学に進学しているわけだから、そういう価値観が社会に根付くのも仕方がないのかもしれないけれど。そんな雰囲気だと、どうしても「高校の評価」＝「（国立）大学進学率」になりかねなくて、それはそのまま「中学校の評価」＝「評価の高い高校への進学率」等に陥りかねない気がする。
で、まずは高校入試の話。高校入試では、コスト以前に、義務教育故の”妥当性・公平性”が強く求められる。この”妥当性・公平性”は、テストの世界で言われる「能力を測定する上で最もらしい項目を含む」という意味ではなくて、「どんな先生でも、生徒が努力すれば解けそうな項目を含む」こと。少し過激に言ってしまえば、突然高校入試が「きちんとしたスピーキングを測定します、だって英語なんでしょ？」と言われた時、中学校も地域住民も混乱すると思う。理由は、現場の教員は決して平等ではないから。これは能力的なことを指しているのではなくて、学区による特色について指していて、実際、学区によりクラスマネージメントそのものの負担も大きく異なることは珍しくない。基本的に中学校の進学は住んでいる地域で決定されるわけだから、そこの生徒に合わせて授業を行えば、各学校によって教える内容は大きく異なるのも当然となる。しかし、進学する上での公平性を維持しなければならないと言われた時、高校入試に英語のスピーキングを導入することにはどこかしらから反発が出るのもわかる。結果、当たり障りのない「覚えたもん勝ち」の文法的知識等を問題に課し、「本人がその気になればできる」雰囲気のある入試問題の方が好まれるんじゃないかな。もちろん、良いことではないのはみんなわかっていながら。
結果的に、入試そのものがそんな体裁を持つもんだから、どうも「アクティブラーニングなんて遠回りしてられないぜ、近道で叩き込め！」的な発想が残り続けるんじゃないかな。
大学入試に関しては疲れたからもう書くのやめます。わしは評価なんてのをかじったせいで、そっち側からばかり見てしまうのだけれど、結局は「教師は教師に憧れて教師になった人が大多数なわけで、教師のやったやり方になぞらえるのは至極当然」だと思うので、アクティブラーニングはまだまだ反発くらいそうだから、こそこそやらないといけなさそうだなぁという悲観。
あと、アクティブラーニングの型が確立していない現状で考えるのが面倒臭いという本音と、「ひょっとすればビジネスチャンスなんじゃね？」と思うした心があります。
あと補足ね。
削除改めて文科省の答申とかを読み直していくと「アクティブラーニング＝講義形式以外全て」というのは極めて限定的な解釈に過ぎず、本来は「（課題発見解決学習＋協働学習）×変容の外化」が正しい解釈だと思います。ブログ書き換えなければ、と思いつつ、そのまま放置しているのが現状です。苦笑