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2013年6月8日土曜日

予備校講師の受験勉強の捉え方 -「これまで誰も教えてくれなかった受験勉強をしなければならない本当の理由」感想




「先生、何で受験勉強しなくてはいけないのですか?」
この問いに答えられるでしょうか。


私なら
「キミの将来のためだよ」「可能性を広げるためだよ」
とか答えてしまいがちです。
この内容で生徒は納得して机に向かえるでしょうか。
生徒の指導上、進路指導は不可欠でしょう。
説得力を持った言葉で、勉強の必要性を生徒に語れるでしょうか。


「これまで誰も教えてくれなかった受験勉強をしなければならない本当の理由」

関正生 伊藤賀一によって書かれたこの本には、長年受験と向き合ってきた予備校講師の解答・考え方がまとめられています。


「大学に行く意味」って? (pp.32)

進路指導をする上で、大学進学を進めることはもはや当たり前の選択肢の1つでしょう。
私は幼少期よりずっと教師志望でしたから、大学は夢を叶えるための当たり前なステップだったのですが、多くの生徒にとっては嫌いな勉強を延長するよくわからない施設です。どう説明できるでしょうか?
筆者の主張はシンプルでした。


「食べていくため」
大人社会は弱肉強食・優勝劣敗・適者生存の世界。
そして、必ずしもフェアな世界ではない。
そんな世界に入る前の準備をするため。
大人ならないと気づかない、「食べていく」のは大変。


現実を踏まえた言葉だなぁ、と考えさせられました。
私なら思わず「夢を叶えるため」とか「可能性を広げるんだよ」と薄っぺらいことを言ってしまうかもしれません。
もちろん、この本で言われていることも同じで、「夢を叶える」「可能性を広げる」ことの重要性を説いています。
しかし、その背景が違う。
やはり、厳しい競争社会で生きている予備校講師という性質からか、視点が違う。社会は甘い世界ではないことが身に染みている。
社会を知らない私は、一種の危機感を覚えながらこの本を読みました。


生徒指導される方は読むべき本かな、と思います。
この本を読んでも、結局教師には社会での実体験がないわけですから、具体的なことは言えないかもしれません。
しかし、生徒が納得して机に向き合う環境をつくるためには、上辺面だけでも受験について語れるようになっておくべきだと思います。

ファールだらけの社会に対して、大学入試は一生で最後のフェアな機会です。
無慈悲な社会に送り出す前に、何とか生徒に生きていく力をつけてあげたいものです。
「個性を育てる」とかも重要ですが、進路指導に関しては大前提でしょう。
無責任な進路指導は決して出来ません。心掛けていきたいと思いました。

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