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2013年6月18日火曜日

物書きのいろは 本多勝一『日本語の作文技術』(朝日文庫)のまとめ

本多勝一『日本語の作文技術』から、物を書く際のいろはをまとめます。物を書く際、ついつい忘れてしまいがちですが、以下のことは常に配慮したいものです。

0. 日本語での読み手への意識

 英語教育に関することにばかり囚われた結果、私はつい母語に焦点を置く機会が少なかった。しかし、当然のことながら、英語でわかりやすい文章を書く以前に、日本語も客体としてはっきり意識して使わなければならない。
 言語が何であろうと、文章を書く目的は読み手に理解されることである。そのため、人に読んでもらうために書く文章では、読み手の理解の円滑化を最大限図らねばならない。本書では、「事実的」「実用的」な文章のための作文技術が紹介されている。


1. 思想のまとまりの意識

 読み手に理解される文章を書く上で、思想のまとまりは特に意識しなければならない。思想のまとまりを意識することで、修飾語の順序や章の構成・改行の仕方・句読点の打ち方は変化する。

1.1 修飾・被修飾関係

 著者は、修飾・被修飾に焦点を置いた言語使用には、四つの原則が適用されると述べている。

(1) 節を先にし、句を後にまわす
(2) 長い修飾語は前に、短い修飾語は後に
(3) (2)に加え、大状況(重大なもの)から小状況(重大でないもの)
(4) (修飾語句の並列的使用の際に)親和度の強弱による配置の転換

 より具体的に言うと、文がわかりにくいと感じる際は、どの語がどの語を修飾するのか不明確である。文章は、修飾する語の位置を変える操作だけでかなりわかりやすくなる。文章がわかりやすくなければ読み手に思想を伝えることはできない。そのため、上記の原則に当てはめ、丁寧に修飾語句を扱いたい。

1.2 章・改行・句読点

思想のまとまりにより、文章は区切られ、章を構成する。そして章の中においても、より細分化された思想で改行することで段落・文が構成される。文中においても同様のことが言え、最小の思想のまとまりに従い、読点で区切ることでより洗練された文が構成される。これらの章・段落・文を用いることで、読み手に自分の思想を示すことができる。つまり、思想のまとまりがない区切り方はされてはいけない。
著者は、句読点の運用には、二つの原則が適応されると述べている。

1)長い修飾語が二つ以上あるとき、その境界にテンを打つ。(重文の境界も同じ原則による)
2)原則的語順が逆順の場合にテンを打つ。

逆順を用いることで、思想の強調を提示することができる。しかし、逆順の運用は読み手の理解を阻害するため、使用には特に配慮しなければならない。


2 技術の先を見据えて

読み手の理解に配慮した文章を書くには、1で取り上げた思想のまとまりの意識を踏まえた上で、以下のことも考えないといけない。

2.1 誇張を避ける

 自分の興味のある情報は、饒舌に書き過ぎるため、独りよがりな文章になりがちである。誇張を避け、内容で面白さを伝えることを意識しなければならない。

2.2 既成の表現に酔わない

 既成の表現の多用は、文章を陳腐なものに成り下げると、著者は指摘している。美辞麗句を並べたような「かっこをつけた」表現を避け、実直で適切な表現を用いることをしなければならない。

2.3繰り返し表現を避ける

 文章が思想のまとまりを示す上で、読み手の理解を最大限円滑にしなければならないため、その理解を阻害する要素は極力排除すべきである。その典型的な例に、繰り返し表現が挙げられる。同じ表現の多用は文章をクドくするため、読み手の理解の円滑化を図れない。繰り返し表現を意図して使用する場合を除き、言い換え表現を探す・逆接の多用は避けるべきである。

3. まとめ

 文章を書く際には、本書の内容すべてを覚えておくことはできないので、そのエッセンスを以下で示す。
           常に、読み手に思想のまとまりを理解してもらうことを意識する。(i.e. 章・改行・句読点・修飾語句)
           表面上の表現ではなく、研究内容で、読み手に面白さを伝えることに焦点を置くべきである。

           読み手の最高の理解の場を提供することを意識する。(そのために繰り返し表現等を避ける)

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