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2013年11月21日木曜日

テストが引き起こす波及効果を考えよう

本ページは靜哲人(2002)『英語テスト作成の達人マニュアル』の内容のまとめと、それに対する自分の意見を簡単にまとめたものです。

テストを作るにあたり、テスト作成者はその波及効果を事前に考えなければいけません。

波及効果 … (テスト論においては、)テストが学習者に及ぼす影響の総体

波及効果には、望ましい効果と、そうでない効果が存在します。以下では、これらを具体的に挙げる中で、テストを作成する際の波及効果の重要性を考えてみたいと思います。

○ 望ましい波及効果
 以下では、望ましい波及効果の一例を紹介します。
l  「話す力を伸ばしたい」からスピーキングテストを実施する
l  発音する技能を伸ばしてやりたいから、発音の技能が必要なテストを行う
l  すばやく多くの英文の該油を把握する力を伸ばしたいから、すばやさが求められる文量のテストを実施する

この例からわかるのは、望ましい波及効果を生むためには、「指導の対象」をきちんと評価内容に反映することが必要なようです。学習者が「テストに出ないことは勉強しない」というのは世の常であって、むしろ教師はこれを最大限利用するべきなのでしょう。自分の指導で重視している内容はきちんと小テストなり定期テストなりに反映することが、学習者のモチベーションを管理する上で必要なのかもしれません。


  望まれない波及効果
以下では、望ましくない波及効果の一例を紹介します。
l  英文和訳を出題する
Ø  英語は必ず日本語に直しながら読む、という態度を押し付けてしまう
l  書かせる問題として和文英訳を出題する
Ø  他人の書いた日本文を英語に「直す」という練習を課してしまう
l  1つの長文の中で、内容的な要点には関係ないが、構文的に複雑な部分を問題にする
Ø  長文の要点よりも、複雑な構文に対して、歪んだ重要度を見出してしまう恐れがある
l  ごく少量の英文のみを出題し、内容の流れとは直接関係のない問題(派生語を書かせる、発音を問う、語の文法的用法を問う)を多数設定する
Ø  学習活動においても、ごく短い英文を、内容に関係なく「解剖」しつくしがら読む、という読み方を押し付けてしまう

  また、特定の問題形式が出題されないことによる波及効果についても例が挙げられていました。
   l  リスニング・スピーキングテストを実施しない
Ø                        Ø   学習者がこれらの能力を軽視してしまう
   l   自らの考えを英語で表現するライティング問題を出題しない
                Ø  自己表現のためのライティングという在り方を軽視させてしまう

 これらから見て取るに、一種の歪んだ評価体制を設けることで、学習者の学習を歪めてしまう恐れがあるようです。自分が生徒だったころを思い返しても、なかなかテストに出ない内容は本腰を入れる気分にはなれませんでした。そのことを踏まえると、「伸ばしたい内容はテストで聞く」ことは意識して置かなければならないことなのかもしれませんね。


参考文献

靜哲人(2002) 英語テスト作成の達人マニュアル

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