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2021年2月7日日曜日

【ICT】主体性をどうやって図る?Youtubeで仕掛ける自主課題



 「学習に対する主体的な態度を評価しないといけない」

 「もっとICTを活用しないといけない」

 「生徒のYoutubeのオススメ動画に英語学習を混ぜ込みたい」



 今回はGoogleのClassroom&Youtubeを用いた自主課題の配信を紹介・まとめてみます。




「主体性を図るってどーするの?」


 今回の取組の背景を紹介しておきます。

 今年度(令和2年度)より、勤務校では生徒の「学習に向かう主体性」を評価に加えることになりました。最終的に数値化しなければならないため、以下の項目が案にあがりました。


 ・小テストの点数

  【採用理由】 学習に向かった時間が比較的そのまま成績に反映されやす  

    【不採用理由】    得意不得意が「主体性」の評価に影響を及ぼす


 ・発表回数や寄与度

  【採用理由】 「授業参加への主体性」=「英語学習への主体性」
  【不採用理由】 ①生徒の性格が評価に影響を及ぼす

         ②記録が面倒くさい・指名制の不平等さ


 ・ノートの完成度の点数化

  【採用理由】    「学習への取組の主体性」=「ノートのクオリティ」

  【不採用理由】 ①「ノートの点数化」が曖昧さ

②目的と乖離した「芸術作品」の推奨につながる


 ・課題提出

  【採用理由】    「課題に取り組む姿勢」=「主体性」

  【不採用理由】 「課題」と設定した時点で、主体的ではない



 上記のどれも、生徒の主体性を評価する上でピンとこなかったため、「自主課題」への取組を採用することにしました。






配信型自主課題への経緯


 生徒の学習に対する主体性を自主課題で評価することにした矢先、いくつかの問題が発生。



 【課題①】提出義務がないため、教材の購入を促しづらい


 全員が提出する「週末課題」であれば購入する説明がつきますが、今回はあくまでも「自主課題」。本人に取り組む意欲がなければ、完全に不必要な出費となってしまいます。教材費も決して安くはありませんから負担を増やしたくはないですし、クレームが怖い(というか面倒くさい)。

 以上を理由に「著作権等の心配がいらない」かつ「配布可能だけど資源の無駄にならない」形式が適切と考えた結果、Google Classroomを活用したオリジナル課題の配付(配信)が最適ではないかという結論に至りました。




 【課題②】生徒の熟達度により、自主課題に対するハードルが異なる


 せっかくの自主課題ですが、課題の難易度が高ければ、「主体性や意欲があっても難易度を理由に取り組むことができず評価できない」といったケースが想定されます。パフォーマンスや知識については別で評価している訳ですから、それとは切り離された形で主体性や態度を評価したい。

 以上を理由に「提出そのものに対して評価を与える」という形式をとることにしました。



 さらに、課題を簡単にしすぎれば、得意な生徒にとって意欲が削がれる課題となります(取り組む意味がわからない)。一方で、課題を難しくすれば、不得手な生徒の主体性を測定できなくなります(意欲はあっても難しすぎて取り組めない)。

 これらを理由に、「英語の熟達度の如何に関わらず取り組むことができ、なおかつ意欲的に取り組むことを保証した内容」を意識せざるを得なくなりました。このようなことは、普段の授業では意識しますが、課題にまで細心の注意を払うのは難しい。



 このような過程を経て「Youtubeの学習解説を指定し、こちらで簡単なクイズを設定すればよいのでは!」という結論に至りました。配信者側は視聴者を確保するために、教員では技術上できないような演出や構成、内容を担保してくれていますので、活用させてもらいます。また、生徒のアクセスが彼らの収益にもつながるので、まぁ少なくとも生徒が負担をすることはありません。(特定の配信者に利益をもたらすのがOKかどうかはグレーですけどね、、、)

 




配信型自主課題の紹介


 実際に今年度取り組んでいる自主課題を紹介します。

 

 【自主課題のルール】

 1週間以内に取り組むこと。(毎週月曜日更新)

 以上です。なお、後述しますが、不正防止のために細かい工夫がいくつかあります。 



・配信画面①(Google Classroom)

・配信画面②(Google Classroom)

・配信画面③(Google Form)


 

配信型自主課題の不正方法と対策


 私自身、不真面目な学生でしたので、この手の課題の不正方法はいくらでも思いつきます。



【不正方法①】動画を見ずに解答する

【対策】動画中のくだらない内容をクイズを混ぜる


 動画は10分近くあります。これを確認するのは面倒くさいので、私が生徒なのであれば、動画を見ずに解答を選択します。(「提出状況で評価する」と宣言されているので、わからなくても良いため、容易に起こりうることが想定されます。)

 よって、設定する問題には必ず、英語に関係のないクイズを予告して出題します。(例:「今回の講師のネクタイの色は?」「今回の動画で挿入されていた画像は何枚?」)予告している関係で、動画をすべて見なくとも解答はできてしまうのですが、それ以上不正に気を遣うのはコスパが悪いので行いません。(通常の提出物も解答の模写等、全ての不正を排除できているわけではないので諦めます)



【不正方法②】正解するまでランダムで回答しまくる

【対策】回答回数を制限する


 採点を自動化するために、全ての問題を選択式にしています。その関係で、闇雲に回答しまくれば正答を導けるという不正が可能になります。ただ、Google Formで作成する問題では、設定で「回答の回数を制限する」ということが可能なので対策は可能です。また、「選択肢の順番を自動で入れ替える」「問題の順番を自動で入れ替える」等のオプションもあるので、対策は可能です。



 以上の対策を踏まえれば、ある程度は対策は可能かと思います。




配信型自主課題のメリット


 実施していて気づいたメリットを紹介します。


【メリット①】毎週高いクオリティを提供できる

 プロは凄いです。エンタメ的要素と内容のバランスが上手だと思います。問題を設定する上で、自分も見るのですが、授業を行う教師自身も勉強になる小ネタを獲得できます。現在の仕事をしながら、同程度の動画を自分で収録して配信するのは絶対に不可能です。


 生徒の評判が良いのは rupa sensei(https://www.youtube.com/channel/UCoKRTudLOqjgdIFpCZIkW4w)の洋画リスニングの動画です。毎週2回更新されるので、どちらか気に入ったほうを採用することも多いです。 


 新出の文法に入ったときには、高校生向けの解説動画を紹介することも多々あります。



【メリット②】来年度も使い回せる

 正直、毎週1本週末課題を設定するためにYoutubeを見漁るのはキツい部分がありますが、Google Classroomでは過去の投稿をコピーして再配信することが容易です。そのため、今年度活用した動画については、もとの動画が削除されない限りはずっと使い回すことができます。(今年度はじめたので、まだ実感できていませんが、きっと来年度からは楽になるはず!)



【メリット③】生徒のYoutubeオススメ動画をジャックできる

 Youtubeでは、視聴履歴に応じてオススメの動画が変更されます。つまり、Youtubeで英語学習系の動画を視聴させればさせるほど、勝手にオススメに表示されるようになり、気が向いた時に勝手に学習してくれるというメリットも!


 よって、これらの取組も「主体的な学習として評価したい」と思えば、別途「みんなにオススメしたい英語学習の動画を教えて下さい」「自主課題として採用してほしい動画があれば回答してください」といった声を拾ってあげる質問項目を付け足しても良いと思います。




まとめ(と本音)


 以上が、今年度実施してみた「主体性」を評価するYoutubeの活用術です。


 実際というと、上記でまとめた理由もあったのですが、ぶっちゃけると「学校が休校中の配信授業で、導入を準備するのが面倒くさくなった。あと、50分の配信課題を用意するのがキツい。」といった理由から、クオリティの高いYoutube上の動画を転用させてもらう、という姑息な作戦から生まれた方法だったりします。


 導入した私自身、「これって勉強になってるのかな?」と懐疑的な部分を感じていたので、生徒にアンケートを行ったところ、得意な生徒(というより、自分の学習スタイルを既に確立している生徒)ほど「効果があるかは疑問である」と回答していたので、途中からは自主課題に選択肢の幅をもたせました。


【初級】Youtube紹介動画

【中級】Classi配信動画(全生徒契約済み)

【上級】特別課題(プリント)


 生徒は自分の熟達度にあった課題を選択でき、個別最適化された学習に近づいているのではないかと思います。


 最初は配信を行うための準備に時間がかかっていたのですが、最近では時間のある考査期間中にまとめて予約投稿することで、負担感がなくなりました。(というか慣れます)


 もしよければ、参考にしてください。

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