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2021年5月30日日曜日

【読解力を身につける】Readingプリントの基本レイアウト

・普段、他の先生ってどうやって「読解」の指導をしているの?
・研究授業や公開授業といった「張り切った授業」じゃなくて、普段の授業が気になる!


今回の記事では、塾講師+教員生活を通して、マイナーチェンジを重ね、やっと落ち着いてきた「Readingの授業」のプリントの基本のレイアウトをご紹介します。私もまだまだ未熟ですので、「こういう進め方もあるのね」程度で読んでいただけると幸いです。

※今回の「雛形」については、基本的なレイアウトに過ぎないので、教科書の単元によっては目的に合わせてガラリとデザインを変えることもあります。



①覚えるための「単語リスト」


授業の冒頭では、まず新出単語を確認します。基本的には、

・チェック欄

・英単語

・(本文中での)意味

で構成された表をポンと置いているだけです。


意識している工夫は以下の通りです。


①教科書でピックアップされている単語だけでなく、熟語も記載する

コンセプトとしては「本単元で覚えてほしい知識については、単語と熟語を区別せず、一覧にして渡す」。標準的な単語リストだと、熟語や固有名詞等は別で記載してあることが多いですが、「身につけてほしい」と思うのは共通です。よって、本文に登場する順番で「熟語」も織り交ぜてリストを作成しています。(別にする必然性がいまいちピンとこないんですよね、、、)


②チェック欄以外に「書き込む」という作業を強制しない

コンセプトとしては「『覚えるべきリスト』という目的を強調するため」。「全員が共通で行う文章」についてはこちらで配布することで、家庭学習に取り組めない生徒が参加できない状況を生み出さず、語彙の導入に専念したデザインを意識しています。もちろん、自身で語学学習する際には、「調べる」という過程は非常に重要だと思うので、「リストを調べて完成させる!」的な授業をされるパターンもあると思いますが、「単語や熟語を調べる作業」については、週末課題・自主課題・演習形式の復習で行わせることにしています。

一応、語彙導入の際に、発音確認と同時にコアイメージや語源、日本語として取り入られているカタカナ語など、暗記の引っ掛かりを紹介するのですが、それらについては特にメモを強制しません。(メモを取る生徒は勝手に取りますし、有用性こそ説明はしますが強要して作業化してしまっても仕方がないので。)授業冒頭で、発音・語源等の確認作業(3分)→暗記活動(20秒)→チェック(30秒)→再暗記(20秒)をサクッと済ませ、読解へシフトします。


③教科書でピックアップされている単語だけでなく、怪しそうな表現は全てリストに加えておく

コンセプトとしては「読解の準備+語彙習得のきっかけはいつでもOK」。生徒は「新出だからわからない」パターンも有るのですが、既出の単語だとしても覚えているとは限りません。よって、単語リストには、生徒が困難を覚えそうな単語・熟語を全てピックアップして羅列します。時にリストが30〜40を超えることもあるのですが、「わからない表現にだけチェックして、わかる表現は無視してね!」と伝えてあるので、不要な生徒はリストから自身で弾いていくシステムになっています。例えば、influenceについては年間5回以上リストに登場しますが、チェックが付き続ける生徒を見るたびに「既出で流されてたら読解の練習なんてできないよなぁ」としみじみ感じます。


④余白には写真やイラストを置く

コンセプトとしては語彙のコアイメージの習得」。言葉で説明するより、イラストで説明したほうがよっぽど早いときがありますので、その際にはイラストを用いてサクッと紹介します。私自体、暗記が苦手だと感じていた生徒の一人でしたので、「暗記を助ける」という手続きを意識しています。


生徒の様子を見る限り、単語が定着していない生徒も、割とこの「サービスだらけの単語リスト」に助けられて本文の読解ができているようです。一方で、「授業プリントの単語リストが多すぎる!」とか「考査の問題に絡む単語だけ絞ってリストを作って欲しい!」という声も聞きますが、これらはそもそもの「読解」という目的から逸れた意見なので、丁寧にお説教して説き伏せるようにしています。笑



②文法解説+例文確認


本文でターゲットにされている文法が含まれた文をピックアップし、文法解説を行います。基本的にサクッと流したいので、メモの書き込みこそありますが、基本的にはマーカーを引くだけで完成します(自分でまとめる習慣については、週末課題等で補完しているつもりです)。共通して言えるテーマは「Readingのスキルを高めるために、『読解』をしてほしい訳で、文法の習得は別でもいいじゃん!」です


①難しめの文を先に解説することで、本文の大まかな流れをガイドする

先に本文中の表現を確認することになるので、若干のネタバレ感こそありますが、苦手な生徒にとっては「訳のわからない文章が1文減る」ことになります。先に丁寧にその文だけ確認することで「この文はわかるから、前後の展開が予想できて、読解作業に再合流できる!」という手助けを意識しています。

②例文で用法を確認することで、「形式的な訳」ではなく、文法のニュアンスを固める

同様の文法が使用されている例文を3〜4つほど確認することで、知識を一過性にすることをとどめようと意識しています。大体、ターゲットとなっている文法は、本文中に複数回登場することが多いので、その際に気付けるように、広いバリエーションを先に提示しておくことを意識しています。

③ターゲット文法でなくても、難しめな文法の復習を混ぜることも

先にも言いましたが、本文中の表現を事前に確認することになるので、若干のネタバレ感こそありますが、苦手な生徒にとっては「訳のわからない文章が1文減る」ことになります。(生徒がわからないのは「新出だから」とは限らないので)


③本文+ほぼFのTF問題


ここでやっと初見の読解を行います。パーツで言えば「単語・熟語」「文法」のレベルでわからない部分を潰しているので、読解の集中できるという段階になっている予定です。読む目的は文章によって異なりますが、基本的には「本文を正しく読み取れているか」をTFの正誤問題で確認していくことが多いです。そして、私の作成するTFの正誤問題は、基本的に全てFです(Fを作りにくい文については、稀にTを入れることもありますが)。生徒は「勘違いだらけの読解」を直すために、正確に読み取ることが求められます。(生徒も「どうせ全部Fじゃろ!」と言いますが、どこが違うのかを読み取るためにリーディングに取り組みます。)


①代名詞の内容の取り間違えTF問題

代名詞の指示内容を間違えた文章のTF問題を用いることが多いです。「ここのthemは何を指していますか?」と聞くのが嫌になったので、「このTF問題は何が違うの?」と尋ねて消化することが多いです。

②対比表現のすり替え

本文中に対比表現が出てきたら、まず確実にそれらの組み合わせをすり替え、間違った文章にします。TF問題を訂正するうちに自然と「何と何が対比されているのか」を考えることが出来ます。

③真逆の文に言い換え

高1の授業プリントのTF問題に「アンパンマンは高額所得者に対して、パンを高値で売りつける」という問題を出題しています。生徒も「いや、読まなくてもわかるわ!」と言うのですが、「私が何故この問題を作ったのか、基となる文を探してよ」と言うと楽しそうに探してくれます(原文では「アンパンマンは、お腹が空いた人に、無償でパンを与える」とかだったと思います)。

④「言い過ぎ」に変える

本文の一部を曲解し、過剰な結論をTF問題に混ぜることが多いです。「ワンチャン言ってるかもしれないけど、でも実際、そこまで言ってないよね?」といった思考過程を求めています。

⑤因果関係のすり替え

本文の因果関係を逆転したり、別の因果関係をくっつけたりします。「意外と事実らしい」文章になることも多いのですが、「本文と一致していないので違うよね?」で押し通します。


基本的に、全ての問題をTF問題にすることで、発言を求められた生徒は少なくとも「TかFか」を回答することが出来ます。また、英問英答とは異なり、産出段階での不正解に関わらないので、生徒も読解に集中できると考えています。ちなみに、基本的に私の作成したTF問題は考査問題にほぼ出題されませんが、ハードルが低いのか楽しそうに取り組んでくれているのでホッとしています。(作るのは大変ですが)



④サイトラ(解説メモ)


作るのが楽なので、教科書のデジタルデータのおまけをそのままベタ貼りして終わりです。基本的には、細かいポイントはこちらに全て書き込むようにしています。

実は、「サイトラを1枚のプリントに記載する」=「生徒が常に訳を確認できる」状態で授業が進んでいます。信頼関係が出来ていないと、「訳を見ればいいじゃん」状態になりますので、他の先生からは指摘されることがたまにあります。

一方で、個人的な意見として「そもそも訳を盗み見る生徒はおそらく読解が出来ない生徒なので、訳を見ながら理解を深めたほうがマシなのでは?」と思うのと、TF問題の間違い探しがゲーム感覚で進行しているので、実際「生徒の多くはサイトラを盗み見ようとしない」ということを感覚的に感じているのでこの形式をとっています。(一時期はサイトラが裏面に来るようにしていた時期もあります)



まとめと本音


私のコミュニケーション英語は基本的に、上記のプリントで授業を進め、生徒は家庭で「ノートをまとめ直す」というルーティーンで授業が進行しています。長めの文章になれば、「前編」「後編」に分けてプリントを作成することで、1授業につき1枚をベースにしています。


もちろん、もっとコミュニカティブな進行で授業をするべきなのかなぁ?と思いはするのですが、やらせたい活動の時間を捻出するために、本文の取り扱いは上記のような過程でパパッと終わらせてしまうのもアリなのでは?、と日々感じています。


研究授業や授業交流を校内で実施することがあるのですが、その際には「生徒の活動を見せたい!」と思い、日々の普通の授業を見せることが少ないのですが、一番土台となる日々の授業を誰にも見せないってどーいうこと?という葛藤から、今回改めて授業の通常回をまとめてみました。


習熟度が異なっても、サポートの丁寧さを変えることで汎用性が高いことから、ここ数年はこのレイアウトがテンプレになっています。是非、参考にしてみてください。

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